藤井・滝沢綜合法律事務所

メールアイコン お問い合わせ

相続に遺言書は必要?不動産を持つ方が知っておくべきポイント

相続

不動産を持つ方が知っておくべきポイント

不動産を所有している方にとって、相続は単なる遺産の継承ではなく、法律や税金が絡む複雑な手続きが必要になるものです。
特に不動産は、現金のように簡単に分割できるものではないため、事前に準備をしておかないと、分割方法について相続人間で争いが生じる可能性があります。
本記事では、以下の不動産を持つ方が知っておくべきポイントについて詳しく解説します。

  • なぜ相続に遺言書が必要なのか
  • 遺言書がない場合に起こるリスク
  • トラブルを防ぐ遺言書の書き方
  • 遺言書の定期的な見直しが重要な理由

不動産の相続を「なんとなく大変そう」と考えている方も、知っておくべきポイントを押さえておくことで、家族が揉めるリスクを減らし、相続を円滑に進めることができます。
ぜひ、最後まで読んで相続準備の参考にしてください。

遺言書の必要性とは?

相続を考えるとき、「遺言書は本当に必要なのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
特に故人が不動産を所有していた場合、遺言書の有無が相続手続きのスムーズさを大きく左右します。

たとえば、親が不動産を遺して亡くなった場合、相続人が複数いると、それをどう分けるかが問題になります。
現金であれば均等に分けることができますが、不動産はそうはいきません。
そのため、誰がどの物件を相続するのか、または売却して現金化するのかといった話し合いが必要になります。
しかし、意見の対立から協議が長引くことも多く、場合によっては調停や審判手続きに発展するケースもあります。

こうしたトラブルを防ぎ、相続を円滑に進めるために、遺言書の存在が非常に重要になります。

遺言書がない場合のリスク

1、遺産分割協議の長期化

遺言書がない場合、法定相続人で遺産分割協議を行ない、遺産の分け方を決める必要があります。
しかし、不動産のように分割しにくい遺産があると、意見が対立しやすくなります。

たとえば、父の住んでいた家を兄と妹が相続するとします。
兄が「自分が住み続けたい」と考えていても、妹は「売却して現金化したい」と思っているかもしれません。
こうした意見の食い違いから協議がまとまらず、長期間にわたって相続が完了しないこともあります。
また、不動産を共有名義にした場合、売却や賃貸などの手続きにすべての共有者の同意が基本的には必要になり、さらにトラブルが起こる可能性があります。

2、相続税申告への影響

相続税の計算は、各相続人が取得する遺産の額に応じて行われます。
しかし、遺産分割が決まらないと正確な税額を算出できません。
そのため、ひとまず法定相続分で申告し、後から修正申告をする必要が生じることがあります。

たとえば、不動産が相続遺産の大半を占める場合、誰が取得するかによって納税額が大きく変わります。
遺言書がないと、相続人が合意するまでの間に余計な税負担が発生する可能性があるのです。
また、不動産の評価額の算定方法によって相続税額が変わるため、税負担を抑えるためにも遺言書で明確に指定しておくことが望ましいでしょう。

遺言書作成のポイント

1、公正証書遺言の活用

遺言書には「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」などの種類があります。
また、今日は法務局での自筆証書遺言保管制度もあります。

公正証書遺言は、公証役場で作成し、公証人が内容を確認するため、無効になるリスクは低いと思われます。
また、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もなく、安全性が高いのが特徴です。
さらに、家庭裁判所の検認が不要なため、相続が発生した際にスムーズに手続きを進めることができます。

2、不動産の分け方を明確に記載する

不動産が複数ある場合は、「誰がどの物件を相続するか」を具体的に書くことが重要です。
たとえば、「東京都○○区○○1-2-3の土地・建物は長男○○に相続させる」と記載すれば、相続人同士のトラブルを防ぐことができます。

さらに、売却を前提とした遺言を作成する場合は、「売却後の代金を相続人で均等に分配する」といった内容を盛り込むとよいでしょう。

3、遺言執行者を指定する

遺言執行者とは、遺言書の内容を実際に実行する役割を担う人のことです。
たとえば、遺言書で「長男に自宅を相続させる」と決めても、実際に相続登記を行ない、不動産の名義を変更する手続きをしなければなりません。

遺言執行者を指定しない場合、相続人が自分たちで手続きを進める必要があり、時間がかかるだけでなく、書類の不備などで手続きがスムーズに進まないこともあります。
そのため、弁護士や司法書士を遺言執行者に指定しておくと、手続きを円滑に進めることができ、相続人の負担を軽減できます。
なお、相続人の一人を遺言執行者に指定することももちろんできますし、遺言執行者に指定された相続人が相続発生後に弁護士や司法書士に遺言執行手続きを依頼することも可能です。

遺言書の定期的な見直しが必要な理由

遺言書は、一度作成すれば終わりというものではなく、定期的な見直しが不可欠です。
家族構成や遺産状況は年月とともに変化するため、遺言書の内容が現状に合わなくなることがあります。

たとえば、当初は長男に自宅を相続させると決めていたものの、後に次男が同居するようになった場合、遺言の内容をそのままにしておくと、兄弟間でトラブルに発展する可能性があります。
また、相続人の一人が先に亡くなってしまった場合や、新たな相続人が生まれた場合も、遺言書を見直さなければ、内容が現状に合致せず、不備が生じる恐れがあります。

遺言書の見直しは、以下のような出来事があった際に行なう事が考えられます。

  • 家族構成の変化(結婚・離婚・子どもの誕生・相続人の死亡 など)
  • 遺産状況の変化(不動産の購入・売却、大きな資産の増減 など)
  • 法律の改正(相続税法の変更や、遺言に関する法改正 など)

実際に、遺言書を長年見直さずに放置していたために、亡くなった後に遺言の内容が現在の状況と合わず、相続人が困惑したというケースも少なくありません。
こうした事態を防ぐために、定期的なチェックを行ない、必要に応じて内容を更新しておくことが大切です。

遺言書作成でお悩みの方はご相談ください

遺言書は、不動産をはじめとした遺産をスムーズに相続させ、資産を守るために重要なものです。
しかし、法律に定められた要件に従って作成しなければ、法的に無効になることもあるため注意が必要です。

当事務所では、遺言書の作成サポートを行っており、税理士や司法書士と連携しながら最適なアドバイスを提供しています。

📞 043-222-1831(平日9:00~17:30)

「どのように遺言書を作ればいいのか分からない」
「不動産をどう相続させるのが最適か」

このようなお悩みがある方は、「朝倉宛」にお気軽にご相談ください。