藤井・滝沢綜合法律事務所

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賃借人が亡くなった場合の対処法

相続

賃貸物件のオーナーにとって、賃借人が亡くなった後の対応は慎重に行なう必要があります。

この記事では、賃借人が亡くなった場合の確認事項と、法的手続きの流れを詳しく解説します。

まずは、居住状況の確認を行なう

まずは、賃貸している物件に居住している人がいるのか、居住している人がいる場合には誰が居住しているのかを確認することが考えられます。

また、賃貸借契約については、相続人に承継されますので、相続人が誰であるのかについても確認が必要になります。

こうした場合、まずは不動産管理会社や弁護士を通じて、居住者の身元を確認することが考えられます。

また、賃借人が亡くなり、賃貸している物件に誰も居住していない場合もあります。
その場合には、亡くなった賃借人の相続人を調査し、相続人に対して賃貸借契約を継続するか、解除するかの確認を行なうと共に、賃貸している物件の原状回復、建物内の動産の処分等について協議することになります。

一方で、居住者が賃貸借契約上の権利を持たない場合には、不法占拠になります。
そのため、新たな賃貸借契約を締結するか検討することが考えられますが、そもそも賃料を支払う意思がない場合は建物の明渡しをしてもらうことになります。

具体的な確認方法として、不動産管理会社や弁護士を通じて、以下の手続きを進めると安全です。

  • 管理会社が物件を訪問し、居住者に対して状況を確認する(無断居住者がいる場合、賃貸借契約の有無を尋ねる)
  • 郵便物や公共料金の宛名を確認し、誰が居住しているのかを把握する
  • 近隣住民に聞き込みを行ない、いつから住んでいるのか、賃借人との関係性があるかを確認する

居住者が賃貸借契約上の権利を持たない場合、家賃を支払う意思があるかを確認する必要があります。
支払いの意思があれば、新たな賃貸契約の締結を検討できますが、支払う意思がない場合は法的手続きを進めることになります。

家賃の支払い状況を確認し、請求を行なう

賃借人が亡くなられた場合には、家賃の未払が発生しているかについても確認しましょう。

相続人がいる場合、相続人には亡くなった賃借人の資産と負債の両方を含めた遺産を承継する義務が生じるため、相続人に対して未払の家賃の支払いを求めることができます
相続人に未払の家賃を請求する場合には、実際に建物を明渡してもらうまでの賃料相当損害金についても請求することが考えられます。

ただし、相続人が相続放棄をした場合、その相続人は一切の資産・負債を受け継がないことになるため、家賃等を請求することはできなくなります。
そのため、相続人の相続の有無についても確認が必要になります。

賃貸借契約の終了と立ち退き交渉

賃借人が亡くなった後、賃貸借契約を承継していないにもかかわらず無断で居住している者がいる場合には、建物からの退去を求めることになります。
不動産管理会社が管理を行なっている場合には、管理会社から居住者に対して明渡しの連絡がされることもあるかと思います。

居住者が任意に退去しない場合には、弁護士に依頼し、明渡しの交渉を行なうことが考えられます。
交渉によって任意の退去が成立すれば、スムーズな解決となりますが、居住者が退去を拒否する場合や中々退去しない場合には法的手続きを検討しなければなりません

訴訟を起こし、強制執行を行なう

交渉がうまく進まず、賃借権を有しない居住者が退去しない場合には、裁判所に対して「建物明渡等請求訴訟」を提起する必要があります。

訴えを提起し、建物の明渡しが認められたにもかかわらず、賃借権を有しない居住者が退去しない場合もあるかもしれません

その場合には、改めて裁判所に対して建物明渡に関する強制執行の申し立てを行い、執行官による強制執行を行なうことになります。

無断居住問題を防ぐための対策

賃借人が死亡した後の無断居住を防ぐには、事前に契約内容を見直しておくことが重要です。
特に、賃貸借契約書に「賃借人が死亡した場合は契約が終了する」旨を明記しておくことで、トラブルの発生を抑えられます。
また、賃借人の保証人や相続人と連絡が取れるようにしておくことで、問題が発生した際の対応がスムーズになります。

家賃保証会社を利用することも有効な手段の一つです。
家賃保証会社と契約しておけば、賃借人が死亡した際の家賃未払いリスクを軽減できるため、オーナーにとって大きなメリットとなります。

お困りの方は弁護士にご相談を

賃借人が亡くなった後、無断居住者がいる場合は、適切な法的手続きを進める必要があります。
状況によっては、訴訟や強制執行が必要になるため、早めに専門家に相談することをおすすめします。

当事務所では、賃貸トラブルに精通した弁護士が対応し、適切な解決策を提案いたします。

📞 043-222-1831(平日9:00~17:30)

無断居住問題でお困りの方は、お気軽に「朝倉宛」にご相談ください。